歯の歯根の病気(根尖性歯周炎)の治療は、
根管内の細菌を可能な限り取り除き、体が治せる状態にすることが最も重要です。
図の説明になりますが、根管内の細菌数が一定のライン(しきい値)を超えると、
根の先に炎症(根尖性歯周炎)が発生します。
根管治療によって細菌数をこのラインより下げることができれば、
骨は回復し始め、治癒へと向かいます。
下記の症例は数年経過した精密根管治療(米国式根管治療)の一例です。根管治療の具体的な具体的な内容はこちらになります。
イギリス在住の患者さんから、「奥歯が痛む。なんとか歯を抜かずに残せないか」とご相談をいただきました。
現地の歯内療法専門医からは、一番奥の歯2本については「治療が難しく、抜歯してインプラントにするしかない」と告げられていたそうです。
日本への一時帰国という限られた期間(1週間)のなかで集中して精密根管治療を行いました。
その後、半年、1年と経過を見ていったところ、CT検査で根の周りの骨がしっかり回復していることが確認でき、無事に歯を保存することができました。
■ 治療後の経過について
実は、もともと10年間も痛みを繰り返していた歯だったため、治療後も2〜3ヶ月ほどは断続的な痛みが残りました。これは「長期間の強い炎症によって、周囲の神経が過敏になっていた(中枢感作)」ためと考えられます。
その後、痛みはきれいに消え、現在は問題なく機能しています。今後も帰国のタイミングなどに合わせて、1年ごとに慎重に経過を追っていく予定です。
「前歯の歯ぐきが腫れて痛む」と来院された患者さんの症例です。他院では「歯が溶けてしまっているため、抜くしかありません」と診断されていました。
当院で歯科用CT(CBCT)を用いて検査したところ、歯頚部外部吸収(しけいぶがいぶきゅうしゅう)という、歯の根元が溶けていく特殊な状態であることが分かりました。これは放っておくとどんどん進行してしまうため、原因となっている炎症や感染を完全にコントロールする必要があります。
■ 当院での治療アプローチ
まず、歯ぐきの奥に隠れて溶けてしまった部分を、DMEで精密に塞ぎ、細菌が入り込まない環境を作りました。そのうえで、根の奥の「精密根管治療」を行っています。
治療から1年が経ち、経過観察を行ったところ、溶けていた根の先の骨はきれいに回復し、腫れや痛みなどの症状も一切再発していません。
■ 今後の見通しについて
この病気は、一度治っても別の場所に再発する可能性がゼロではありません。実際に、治療の8年後に別の場所で再発したケースも経験しています。そのため、今後も定期検診でしっかりと長期的に見守っていくことが大切です。
突然、歯ぐきが腫れて痛くなった」と来院された患者さんです。CBCTで検査を行ったところ、歯の根にヒビが入る「垂直性歯根破折(すいちょくせいしこんはせつ)」が疑われました。一般的には「即抜歯」と診断されることが多い、非常にデリケートな状態です。
ただ、まだ周囲の骨が溶けている範囲が狭かったため、患者さんとご相談のうえ、歯を残すための特殊な接着治療に踏み切りました。
治療のプロセスと、より最適な手法へのアプローチ
初回の治療でヒビの部分を除去し、スーパーボンドという歯根破折専用の接着剤で修復し一度は腫れや痛みが落ち着きました。しかし、半年後の経過観察で骨や深い歯周ポケットは全く改善しませんでした。
そこで、より生体親和性の高い「MTAセメント」とスーパーボンドを組み合わせた、ハイブリッド法へと治療をステップアップさせました。その結果、その後の経過ではっきりと骨の回復が認められ、歯の周りの組織もきれいに改善へと向かいました。しかし、歯の根の治療やヒビの治療は非常に繊細であり、どれほど精密に治療を行っても、すべてのケースでこのように骨が再生するとは限りません。
骨の回復が部分的であったり、これ以上の進行を食い止めることが限界である場合もあります。だからこそ治療を始める前に「現在の状態」「残せる可能性」「考えられるリスク」を患者さんにお伝えし十分に納得されてから治療へ進むことを何よりも大切にしています。
治療を終えて:本当の勝負はここから
歯の根のヒビの治療は、ただ接着して終わりではありません。本当に難しいのは治療後です。
再びヒビが入らないよう、噛み合わせのバランスを精密にコントロールし、その歯の破折した過度な負担がかからない状態を維持していくこと。破折歯を長持ちさせるために不可欠な視点だと考えています。
数年前に他院の専門医で根管治療を受けた歯に、再び歯ぐきの腫れが生じたため、近医を受診された患者さんです。
診査の結果、歯根破折の疑いがあり、抜歯を勧められたとのことで当院へご相談に来られました。
当院でCBCTを撮影して確認したところ、下顎6番の近心根に病変を認め、歯根破折の可能性も否定できない状態でした。特に下顎大臼歯の近心根は、歯根破折が非常に起こりやすい部位でもあります。
患者さんには、破折している可能性があること、治療を開始してみなければ確定できない部分があることをご説明しました。そのうえで、まずは精密根管治療を行い、もし治療中に破折線が確認された場合には、接着治療も検討する方針となりました。
実際にマイクロスコープ下で根管内を確認しながら治療を進めたところ、明らかな破折線は認められませんでした。根管内の感染源をMIで除去し、再根管治療を行った結果、術後6か月で根尖部の骨は良好に回復しました。
根尖性歯周炎の治療は、基本的に根管治療によって感染源を取り除くことが中心となります。
精密根管根管治療の術後は、症状の改善だけでなく、レントゲンやCTで歯の根の先の骨が回復しているかを重要な指標として評価しています。
根管内の細菌が原因とした場合は(根尖孔外感染は除く)適切に治療が行われれば、多くのケースで術後数ヶ月の経過の中で骨の再生が認められてきます。
また、歯ぐきの腫れや膿などの症状は、感染がコントロールされることで徐々に改善していきます。
一方で、骨の回復が確認できても、噛んだときの痛みや違和感などの「感覚的な症状」がまれにしばらく残ることがあります。
これは、長期間炎症や痛みが続いたことで、歯の周囲から脳へ送られる痛みの信号が繰り返され、神経が敏感な状態になっているためと考えられています。
このような状態は
中枢感作(ちゅうすうかんさ)と呼ばれ、
組織の回復と感覚の回復にズレが生じることがあります。
なお、骨の回復が完全でなくても、症状がなく長期に安定するケースもあります。
当院では、症状・画像・経過を総合的に評価しながら、
歯の状態を慎重に判断しています。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
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| 午前 | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × |
| 午後 | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × |
午前:10:00~13:00
午後:14:30~19:00
休診日:木曜・日曜・祝日