湾曲根管はレッジができてしまうとその修正(本来の根管)するのに非常に困難な場合があります。
上の奥歯が腫れて痛む。セカンドオピニオンで来院されました。
上の6番(上顎第一大臼歯)を構成している3つの歯根のうち1つの歯根が大きく膿んでしまっている。しかし、その歯根が大きく曲がっていて、しかも石灰化しているため根管治療で感染部が除去できないとのこと・・・かなり難しそうです。
治療(根管治療)させて頂いて、もし腫れが退かないような場合は、トライセクション(3つの歯根のうち問題となっている歯根だけを抜去して残りの歯根だけで被せものをする)か、歯根端切除術のお話もさせていただきました。
湾曲根管はまだ手をつけられていない、つまり根管治療されていない歯に関しては、慎重に根管形成すれば問題なく根尖(歯根の先まで)まで感染除去ができる場合が多いです。
湾曲根管の1例です。根管(近心根:左側の歯根)が2根とも強く湾曲していますが根管の先端まで(根尖)治療することができました。
湾曲根管の1例です。開口障害があり、器具の挿入が非常にむずかしく、患者さんには大変辛かったと思います。
本題に戻りまして、歯根の精査のためにCBCTを撮影することにしました。
非常に難しそうです。近心頬側根という根に問題があるようです。歯根周辺は黒くなっており炎症で骨が溶けています。CTで3次元的にみても複雑な湾曲をしています。歯根の形状から黄色の矢印付近に手がつけられていない、感染している根管が先あるはずなのですが、石灰化しているためかCTでも全くみえません。
通法通り、歯冠部を綺麗にしてラバーをかけ、根管を綺麗にしてCTを見ながら様々な方法で根管を探索しましたが、根管が先が全く見当たりませんでした。完全に先まで石灰化しているようでした。このような場合、私は無理に探索して誤ってパーフォレーションさせるより、徹底的な根管洗浄を行って様子をみることにしています。
様々な洗浄方法を行いました。プロウルトラピエゾフローで15分間加温した次亜塩素酸ナトリウムを流し続けて洗浄。超音波吸引洗浄をPAA(0.3%過酢酸)で洗浄。最後は2%CHXで音波洗浄しました(NCを十分中和させてから使用しました)。そのまま根管充填。クラウンを装着しました。腫れは翌日には退いてくれました。
半年後に経過を確認しました。
半年後、運よく病変(術前の歯根周辺が黒くなっている部分です)は消失してくれました。石灰化している部分は器具で掃除できませんでしたが、根管洗浄で細菌の量を減少させたことで身体が治癒してくれたようです。今後は歯質が薄いので歯根破折を心配しながら経過をみていきます。
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